一時(令和2年)は休業も考えた東灘酒造。しかし新しい杜氏を向かい入れて、意欲的に酒造りを進めています。その象徴的な酒がこれと言えましょう。
まずはなんと行っても初めての『生もと造り』であること。そして鳴海初の『低アルコール酒』であること。このふたつの快挙を一緒に実現しました。
なんでも新杜氏の強い意向があったようです。
『低アルコール酒』は最近流行りのジャンルである。反して『生もと』は江戸時代の寒造りにつながる伝統的手法である。これがどうやって折り合いをつけ製品として成り立つのか?非常に興味のあるところです。
さてその味わいは意表をついたものでした。『生もと』という古めかしさは一切なく、香りはバナナの如く甘く立ち上がり、口当たりは直詰めの妙でフレッシュで実にモダンである。
甘み自体はそれほど多くないと感じますが、レッドグレープフルーツのような酸味とほろ苦さが、かえって甘みを引き立てジューシーとさえ感じさせます。
「生もと」のもつ濃厚な酸味が、低アル化で残った甘味成分をさながらスポットライトで照らし出しているようです。
実に面白いです。ラベルのカラーもお酒をイメージしています。春から夏に取っておきの一本になるでしょう~
因みに「YK-66」は、君塚敦社長のイニシャル+6号酵母、66%精米から名付けたのもです。