R2年の造りより新しい杜氏を迎え、野心的な酒造りに取り組んでいる東灘・鳴海シリーズ。
生乳酸菌添加、白麹造りに始まり、今年はついに「きもと」の一段仕込みに挑戦しました。その酒はいかに・・・
古式の一段、それも「きもと(生と酉偏に元)」となれば、さぞかしドッシリとした重厚な酒が出来上がるのだろうと想像していたが、まさに想像は意外にも裏切られた。
香りこそ乳酸菌主体の「きもと」のそれだが、口に含むと実にアッサリと滑り込む。アルコール感も薄く、さらさらと舌を流れるようだ。味わいは甘めの仕上がりだが、しっかりとした酸味が甘みを包み込んで逃がさない。良く味わえば、ちゃんと「きもと」してるのに上品で軽快に感じる酒質。
なるほど原酒なのに酒精は12度だ。昨今は日本酒の重さを低減するため醪に追い水を加してアルコールを下げる製法がとられることが多くなった、搾ってから加水するより格段になじみがよくなるそうだ。
これでワイン並みのアルコール度数で、しっかりとした味わいを持ちつつ飲みやすい酒質の日本酒に仕上がっている。
まさに古くて新しい。新世代の日本酒の手本です。