パンフレットに存在しない『神力』の山廃純米。今回、特別に瓶詰めを分けて頂きオリジナル酒として販売にこぎ着けました。「山廃の岩の井」久々の会心の作です。
「神力」は、美山錦、五百万石の祖先と言われ、明治の世、兵庫県の農夫「丸尾重次郎」が、水田に特別に穂の重い稲が生長しているのを発見。わずか3本の穂を種にし改良を重ねたところ、大粒で多くの米が収穫できたことから“神から賜った米”として「神力」と名付けられました。次第に「神力」の評判は広がり、丸尾重次郎は「神力翁」と呼ばれるまでになりました。
抜群な収穫量を誇り、全国に普及した「神力」は、「麹がつくりやすく、もろみで溶けやすく、酒に雑味を与える成分が少ない」という性質から、酒造好適米としても高い評価を受けるようになります。
しかしながら、昭和の初めになると、稲作形態の変化と激しい品種改良競争のなかで、やがて姿を消すこととなりました。
しかし昨今の復刻米ブームにより再び見直されるようになり、千葉県内で初の山廃酒として岩の井が手がけました。
香りはやや乳酸系のさわやかながら甘みのある物。口に含むとふくよかで柔らかい、辛みの中にもお米の甘みを感じさせる物に仕上がっている。酸味も穏やかで力強さに中にも優しさを感じさせます。
常温から、ぬる燗、人肌燗がいいでしょう。冷やし過ぎるとこの酒の良さが引き立ちません。